インテリア家具ショップのリグナが送る、ライフスタイルWEBマガジン
写真提供:めぐたま
気になるお店の家具あれこれ

文・構成=小林英治

第2回
2016.06.22

プロがつくったゆるい空間 写真集食堂めぐたま(ときたまさん、おかどめぐみこさん)

恵比寿にある写真集食堂めぐたまは、写真評論家の飯沢耕太郎さんが所蔵する約5000冊の写真集が壁一面に並び、新鮮で安心な食材で作られる「日本のおうちごはん」を提供する食堂です。木材を基調とした暖かみのある空間は、一流の建築家とデザイナーによる設計と内装の中、飯沢さんが描いた床のドローイングと、食堂を切り盛りするおかどめぐみこさんが選んだ椅子がミックスされて生まれました。

家にいるような居心地よさ

壁一面に膨大な写真集を揃えながら、開放感のある空間ですね。

とき:建築家の村井正さんが開発したエアロハウスという工法で、箱形の構造を活かして柱のない広い空間を生み出しています。イベントのときは50人くらい入ります。人数が少ない時は、奥のホールだけでイベントをやって、入り口よりのカウンターはそのまま営業もできます。内装は、友人でもあるデザイナーの橋本夕紀夫さんに頼みました。彼はペニンシュラホテルなども手がける世界的に活躍する方です。私たちのことは良く知っているので、お家にいるような居心地のいい空間を目指してくれました。めぐたまのコンセプトは「プロがつくったゆるい空間」なんですよ。

おかど:私は丸みがあるものが好きなので、椅子は丸みがあって手に優しく、座り心地が良くて、持ち運びができる軽いものを探しました。いろいろな椅子に実際に座って確かめて、最終的に決めたのはチェコ製の曲げ木の椅子です。カフェではなく食堂なので、テーブルと椅子の高さは少し高めにしてあります。それと、私がお店のどこかに赤い丸が欲しいなあとお願いしたら、橋本さんが入口から見える右側の床とカウンターの腰壁に丸を描いてくれたんですね。まさかこんなところに!とちょっと驚きましたけど(笑)。

お店に入るとすぐに目に入る床の絵も印象的です。

飯沢耕太郎さんによる「生命の樹」おかど:これは橋本さんが、「白いペンキで床に絵を描いてください」と飯沢さんに頼んだんです。大きな樹木をベースに鳥や魚、きのこや花、太陽、月などが描かれています。ほとんど1日で描いたんですよ。「生命(いのち)の樹」という作品です。

照明ランプの傘は本の形をしていますね。

本で作ったランプシェードおかど:橋本さんは照明を使ったドラマチックな演出が得意な方ですが、めぐたまではお家風に明暗の緩やかな照明を提案してくれました。実は、最初はこういうデザインを照明デザイナーに頼んだそうです。でも高価だったので諦めようとしたんですが、橋本さんがすっごく寂しそうだった(笑)。そこで、工務店さんが工夫して作ってくれました。古本と白く塗装した板金を組み合わせ、真ん中に穴を開けて吊るしたんです。

トイレの鏡はギャラリースペース

写真集専用の本棚にこだわったところはありますか?

とき:写真集はサイズではなく作家別に並べることに決まっていたので、本のサイズがバラバラでもきれいに収まる高さを割り出しました。そこに入らない大型本用の棚も1段だけ作って、全体ではスッキリ見えるように工夫しています。写真集の重さで横板がしならないように、丈夫な集成材を使ってるのも特徴です。

年に一度、本棚の大掃除もされているそうですね。

とき:はい。ボランティアを20人くらい募って、週末のオープン前の時間に、全部の本を棚から出して一冊ずつ雑巾で拭くんです。同じ並べ順で戻さないといけないから3人1組でやって3時間かかります。最後にみんなでワイワイお昼ご飯を食べて終わります。

トイレの鏡はアーティストたちのギャラリーになっているとか。

イラストレーター上原由祈子さんの作品「春めく」とき:知的障害者雇用が7割以上という日本理化学工業(株)を応援する「めぐたまキットパスプロジェクト」です。同社が製造する、ガラス面やホワイトボードに描けて濡れた布で簡単に消せる固形マーカー「キットパス」を使って、めぐたまの鏡にアーティストに自由に絵を描いてもらっています。キットパスは店内で販売もしています。

トイレの鏡としてはずいぶん大きいですよね。

とき:設計当初からここに絵を描くと決めていたので、そのために鏡を大きくしてもらったんです。上のほうにしっかり絵を描いても、ちゃんと顔が鏡に映るようになっているでしょう。

イベント担当のときたまさん(右)とおかどめぐみこさん(左)おかど:実はトイレはもうひとつペーパーホルダーにもこだわりがあるんです。私が「これがいい!」と気に入ったものを使ってもらいました。お店に来たらトイレのなかもじっくり見て楽しんでほしいですね。

(取材・撮影=月永理絵)

写真集食堂 めぐたま

〒150-0011東京都渋谷区東3-2-7-1F

TEL & FAX:03-6805-1838

http://megutama.com

© Erika Kobayashi

小林英治(こばやし・えいじ)

1974年生まれ。編集者・ライター。雑誌や各種Web媒体で映画、文学、アート、演劇、音楽など様々な分野でインタヴュー取材、イベント企画などを行なう。編集を手がけた書籍にOpen Reel Ensemble『回典』(学研)ほか。リトルマガジン『なnD』編集人。

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