PP19 テディベア チェア

椅子の巨匠、ウェグナーの作品のなかでも特に印象的な椅子、通称「ベア」。

母熊に抱かれるような安心感が得られるイージーチェア。

ボタン締めの背もたれに頭まで支えてくれる耳のようなウィング、そしてぴょこっと飛び出た手のような肘掛けがなんとも愛らしい。

ちなみにこの「手」の先に施されたチーク材の「ツメ」はよく触る部分の強度を考えてのことだとか。

そんな個性的な見た目もさることながら、ベアの魅力はもちろんウェグナーの椅子の中でも1、2を争う座り心地のよさ。

普通に腰掛けるだけでなく、身体を斜めにし、肘掛けに脚をかけて楽な姿勢をとれるような構造になっています。

無造作に身体をあずけても、左右のでっぱりがしっかりと支えてくれるので疲れにくく、深くゆっくり腰掛けると、広い空間であってもパーソナルスペースを与えられたかのように感じます。

斜めに座って、肘掛けの上下に脚を放り出してみても、肘掛けや背もたれのでっぱりが身体を受け止めてくれます。

考え事をしたいとき、リラックスしたいとき、日本人なら床の上で座ったり寝転んだりするかもしれませんが、北欧の人々はその役割を椅子、特に安楽椅子に求めるそう。

椅子のマイスター、ウェグナーはそのことをよく理解していたのでしょう。