インテリア家具ショップのリグナが送る、ライフスタイルWEBマガジン
気になるお店の家具あれこれ

文・取材=西子智

第3回
2016.07.20

額縁のある風景 額縁額装店newton(鷹箸廉)

都立大学にある額縁額装の専門店newton。目黒通り沿いにあるガラス張りのお店は、色彩豊かな絵画や陶器、ガラス器などが目を引いて、思わず足を止めてしまうような雰囲気です。最近では、ミロコマチコさんや福田紀子さん、山崎由紀子さん、泉大さんらの絵の展示、さらに工芸品やニット作家、オーダーシャツの展示も行うなど、額縁のお店という枠を超えて活動する2代目の鷹箸廉さんに、インテリアとしての額縁のことやお店の試みについてうかがいました。

2代目としての挑戦

お店に入ると、「これも額縁?」というようなユニークなかたちの額縁があるのが気になります。

箱型になった額縁鷹箸:空中に浮いているガラスケースのような額縁とか、奥行きがあってガラスの前扉が付いている棚みたいな額縁のことですね(笑)。これらはキャンドル屋さんとコラボレーションの展示をしたときに生まれました。2枚の額縁をガラスでくっつけて箱型にしているんですけど、キャンドルを入れて天井から吊るすとキャンドルが宙に浮いているみたいに見えるんです。これを見たガラス作家さんからコップを入れたいというアイデアをもらったので、コップを中に飾ってみました。植物を入れたりしてもいいんです。ガラスのサイズを大きくして棚そのものとして使っている額縁もあります。額縁って、中身ありきに思われがちですが、逆に、中に何を入れてもいい額縁だとこちらから提案できるし、こういうものを入れたらというおもしろいねというアイデアが集まってくるので楽しいです。

平面のイメージのある額縁ですが、額縁もお店の試みもどんどん立体的に広がっていったのですね。

newtonオリジナルフォトフレーム鷹箸:newtonはいまの場所で両親がはじめたお店で、今年で47年目になります。僕は高校生の時に後を継ぐことを決め、大学卒業後に会社勤めを5年間して家業に入りました。ところが、いざ始めてみると、この仕事って額縁の中に入れるものがないと始まらない。今みたいにSNSという発信するためのツールもなく、何もできずにひたすら仕事を待つ日々でした。それで5年前に代替わりして自分が代表になったときに、「ダメもとでも、やりたいことをやりたい」と店内の小さなスペースで展覧会を始めました。その記念すべき1回目の展示は、同じ都立大学で活動しているはらぺこめがねという明るく楽しい絵を描くイラストレーターの夫婦による展示でした。やってみたらとっても楽しくて、たくさんの人が足を運んでくれました。それ以来、月1ペースで展覧会を企画しています。今では額装と展示の企画とどちらも大事な仕事となりました。ギャラリーではなくて、額縁のお店が展覧会をしているところがおもしろいと思っています。

インテリアとしての額縁

どんなものでも入れられると思えば、インテリアとして額縁を取り入れやすくなりそうです。

展示スペース(ガラス作家大木戸寛さんの個展)鷹箸:たとえば、アンティークの額縁だけをインテリアにする方法もありますし、量販店で手に入る額縁に自分のお気に入りのものを入れて飾るのもありだと思います。だけど、額縁にまでこだわりを持って時間をかけて選んでみると、もっと別の世界が広がるんですよ。newtonでは、額装したいものをお店に持ってきていただければ、額をどこにどういう感じに飾りたいのかなどお話をうかがって、額縁の提案をさせていただきます。額縁はとてもたくさん種類があるので、微妙な風合いで見え方や雰囲気がまったく変わります。その違いを知って、楽しんでもらいたいですね。それに、何となく選んだものを飾り、無意識のうちに目にしているよりも、本当に気に入っているものが部屋に飾ってある方が、生活が楽しくなりませんか?(笑) 僕たちが展覧会を企画するのには共通した思いが根底にあって、ひとつの作品を生み出すために作家がかけた時間や込められた思い、そして人の温かみが生活にうるおいを与えてくれるはずだと思うんです。そういうものに囲まれて生活したいですし、いつでも作家側の立場でいて、大切に作品を紹介したいと思っています。

今後の展開やこれから挑戦してみたいことがあれば教えてください。

2代目店主の鷹箸廉さん鷹箸:展覧会は2年くらい先まで決まっていますので、ぜひ足を運んでもらいたいです。それから先日、展覧会のもうひとつの会場として協力してもらっている近所のQG&S(クァンタムギャラリー&スタジオ)で音楽のイベント「バロンと世界一周楽団 LIVE!『Frame my life』」を開催したんですけど、これがかなり楽しかったんです。僕たちは音楽が好きでフェスも好きだし、周囲に作家や音楽をしている人がたくさんいるので、都立大でフェスができないかなとひそかに考えています(笑)。実際やることになったら大変そうだけど、いつか実現できたらいいかな。いつも自分たちが好きなこと、やりたいことをしているだけですけど、額縁の仕事も企画の仕事も、お互いが納得のできるものを一緒に考えて作っていきたいですね。

額縁・額装専門店newton

〒152-0023東京都目黒区八雲1-5-6

http://newton-frames.com/index.html

西子智(にしこ・さと)

翻訳・ライター。本、音楽、アートなど、おもにカルチャーの分野で翻訳・執筆活動を行う。数年前に額装してもらった映画監督ペドロ・コスタの写真(写真/石塚元太良さん)は家宝。趣味のギターを特訓中。

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